3/29に本年度最後の【食ing DAYs】DAY5が、コワーキングスペースGomboppa で開催いたしました!
今回は、株式会社湯浅商店の松永政治さまをゲストにお迎えし、商品パッケージの考え方を、レクチャーとワークショップを通して教えていただきました。今回は当日キャンセルがあったものの、10名の方々にご参加いただき、終始なごやかな雰囲気で内容の濃いDAY5となりました。
意外と知らない、パッケージの目的と基本
「パッケージをつくる目的は何だと思いますか?」
まず松永さんから参加者の皆さんに質問が投げかけられました。今回の参加者の方の多くは、デザインをする側ではなく、自社商品や飲食店のテイクアウトパッケージなどの企画する側のポジションの方々です。意外と目的をはっきり意識して、パッケージをつくったことは無いかもしれませんね。松永さんが考えるパッケージ作成の目的は、以下の二つです。
①商品の価値を高める
②コミュニケーション(作り手・売り手・買い手をつなぐ)
生活者の想いと生産者のコミュニケーションツールとしては、チラシやCMなど多々ありますが、パッケージが最強だと仰います。パッケージは生活者と最も関わりが多いためです。売り場では、皆さんパッケージや値段を見て購入を決めるはずですよね。もっともダイレクトな手段がパッケージというわけです。そして、パッケージの良し悪しが、商品の売れ方を劇的に変えてしまいます。松永さんが担当されたパッケージのリニューアルの案件では、デザイン変更後に売上が5倍になったものがあるというから驚きです。
商品パッケージを考える前に抑えておきたい基本機能は、以下の重要な4点があります。
①保護性…商品の品質を守るために必要
②利便性…物流の容易さ、消費時の携帯性や使い勝手
③快適性…情報表示など
④経済性…内容物に見合ったコストであること
パッケージを「考える」
パッケージをつくる目的と基本を抑えたところで、パッケージの考え方へと話題が移ります。ここからがタイトルにある「心が動く」商品パッケージの核の部分です。考える時に大事なことは大きく分けると2つあります。
①その商品の一番の魅力は何か
②商品の良さが伝わるパッケージデザインになっているか
上記の①をまず始めに言語化することで明確にし、②を常に意識しながらパッケージのデザインを進めます。商品パッケージには4つの役割があり、それぞれの役割をきちんと果たすことにより、商品ブランドが作られていきます。商品のブランド構築はとても重要です。ブランドが自社商品を他社と区別する役割を果たし、商品価値を高めてくれます。気になるその4つの役割を以下にご紹介します。
①目立つ
②らしさ(会社・カテゴリー)
③一番の魅力が伝わっているか
④記号として残せるものがあるか
最後の④の「記号」の部分が少々理解しにくいので、簡単に解説します。例えば、赤い缶に白地で筆記体の英語が書かれている缶と聞くと、多くの方はコカコーラかな、と思うはずです。このように色や形、ロゴ、キャッチコピーなどを見聞きした時に、商品やブランドを特定できることが、記号のはたらきです。
松永さんはご自身の経験から、中小企業の弱みは「顧客に覚えてもらう努力が足りない」と話されていました。商品ではなく、ブランドから戦略的に構築していくことが重要なんですね。現在はSNSなどで無料でプロモーションする事もできますので、積極的に顧客に覚えてもらう行動が必要です。
ワークショップでパッケージづくり体験
次に様々な事例を使って、ネーミングや商品のリニューアル、パッケージデザインの体験談を共有いただきました。本日松永さまよりレクチャーいただいた内容を踏まえて、最後にワークショップでパッケージづくりに挑戦です。今回は入門編という事で、松永さまからのお題は、パッケージつくる商品を「漬物/ジャム/ドレッシング」の中から選び、以下の項目を作成していきます。
1. ネーミングは?
2. どんなところで販売しますか?
3. どんなパッケージにしますか?(スタンドパック/ビン/箱の中から選択)
皆さん真剣にワークシートと向き合い、考えたものを最後に発表していただきました。どれも個性的で何一つとして同じ考え方のものはなく、それぞれに松永さんがアドバイス。皆さんのパッケージの考え方で、共通して松永さんがご指摘されていたのは以下の2点でした。
①地域性
②その商品を食べるとどんないい事があるの?
地域性は商品のストーリーを考える上でとても大切ですね。②は消費者にとってのベネフィットですので、売れ行きにも影響する要素です。今回のワークショップの方法は、とても簡単で実践的ですので、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてくださいね。
今回は相手の心が動くような商品パッケージをつくる上で、重要なエッセンスを松永さまに教えていただきました。業界内にいないと中々お聞きできない貴重なお話や、商品パッケージの目的から基本、考え方まで非常に分かりやすく解説していただきました。今からでもすぐに商品パッケージを考えてみたい!と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。今年度最後の食ingDAYsも素晴らしいお時間とする事ができました。まさかの季節はずれの雪の中、仙台よりお越し頂いた松永さま、参加者の皆さま誠にありがとうございました。
松永さまのご活躍はこちらからご覧ください↓
> 株式会社 湯浅商店:http://www.yuasa-sendai.com/
今年度の食ingDAYsは、今回のDAY5が最終日となります。今年度登壇いただきました講師の皆さま、参加者と閲覧者の皆さま、今年一年ご協力や応援いただきまして心より御礼申し上げます。
Writer profile
武智靖博 veeell Inc.ディレクター
中国上海での建築設計活動を経て、故郷の角田へ。
現在はコワーキングスペースGomboppaの番人。いつも年齢より若く見られる童顔王子。旅先の岩手の飲み屋で学生だと思われ、さすがに意気消沈。
押しメンは今までもこれからもロベルト・バッジョ。
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