【食ing DAYs】DAY3レポート
10/20に【食ing DAYs 】DAY3がGomboppaで開催されました!
今年度の「かくだ創業スプラウト」では、食の創業支援を目的とし、「食×〇〇」をテーマとする連続レクチャー「食ing DAYs」を毎月開催しています。
【食×プチ旅行で誘客】
~市外在住者に、我が街の魅力をどう伝えるか~
今回はゲストとして、株式会社ゆいネット、株式会社たびむすび 代表取締役の稲葉雅子さまをお招きし、旅行という視点からターゲット設定や地域の魅力の考え方をご講演頂きました。女性起業家の稲葉雅子さまの講演を聞くことができる貴重な機会とあって、参加者11名のうち、実に7名が女性の方でした!
DAY3の主題は、「旅行視点でターゲットを考える」です。
そこから我が街の魅力をどう伝えるか。まずは稲葉さんが参加者の方々に、「今日はなぜ参加したのですか?」と、気さくに声をかけます。柔らかな雰囲気の中、稲葉さんの講演が始まりました。
起業のきっかけ
稲葉さん自身の起業エピソードからスタートしました。きっかけは2000年。稲葉さんは勤めていた会社を退職し、転職活動をしたものの、今ひとつ自分が希望する仕事が見つかりません。そのとき、転職という選択肢だけでなく、自分で会社を創る選択もあるという話を聞いて、わずか4か月でスピード起業をしたそうです! その会社が代表取締役を務める株式会社ゆいネットです。
ターゲットは誰ですか?
株式会社ゆいネットでは、1人や2人で起業する方のための講座「ちっちゃいビジネス開業応援塾」を実施しています。参加者は圧倒的に女性が多く、特に30代から50代ぐらいの女性が多いそうです。そして、講座の中で受講者の皆さんに稲葉さんはこう言います。
「ちっちゃいビジネスの6W2Hを考えましょう」
「6W2Hとは?」
・いつ?(When)・・・開業の時期はいつ?
・どこで(Where)・・・対象となる市場、業種、分野は?
・だれが?だれと?(Who)・・・個人?法人?仲間は?
・何を?(What)・・・提供する商品、サービスの内容は?
・誰に?(Whom)・・・対象となる顧客は?
・なぜ?(Why)・・・事業の目的は?(誰のどんな笑顔?)
・どうする?(How)・・・ライバルに負けないやり方は?
・いくらで?(How Much)・・・どれだけの単価?売上?
どの項目も重要ですね。その中でも、「誰に(対象となる顧客は?)」を考えることが不可欠です。と話す稲葉さん。それは、稲葉さん自身、開業した飲食店をわずか3年半で閉店した苦い経験があるからです。なぜお店を閉めなければならなかったのでしょうか。当時を振り返ると、対象となるターゲットを明確にしていなかったと話します。その結果、客層にバラつきが出てしまい、お店が提供するサービスとお客さんの需要のバランスがうまくいかなくなってしまいました。そのため、誰が自店のターゲットか考え、そのターゲットに対して自店のウリを伝えることが重要です。その際に、色々な人に来てほしいではなく、ターゲットを絞ることがポイントです。そう言って、自身の経験を踏まえたアドバイスを共有していただきました。これから創業希望の方はターゲットを明確に。すでに起業している方も、改めてターゲットと自店のウリをもう一度掘り起こしてみましょう。
日常と非日常
いよいよ、今回のテーマ「旅行視点でターゲットを考える」についてのお話です。
まず、参加者同士でディスカッションし、最近の出来事で「日常」、「非日常」に感じたことを探っていく所からスタートしました。
<意見>
〇日常だと思うこと
コンビニに行った、チェーン店で食事した。など
〇非日常だと思うこと
ステーキのお店に行った、ホテルの最上階の高級レストランに行った。など
このテーマでディスカッションした理由は、開業の際にどういう性格のお店にするか、以下のように大きく2種類があるということを説明したかったと話す稲葉さん。
①「日常」の生活の人をフォローする場
②「非日常」の空間を演出する場
稲葉さんが開業した飲食店は、生活の中で日常使いの人をフォローしていく場をコンセプトに営業していました。実際、平日お昼の時間帯はランチを求める男性のお客さんが殺到し、1人あたり約30分で次々と入れ替わっていたそうです。
ところが、お店の情報が旅行雑誌に掲載されると、土日の客層に変化がおきました。掲載されたメニューを求める観光客のお客さんの割合が増え、お店での滞在時間も増加。その結果、土日のお店への来客数が少なくなってしまいました。
なぜこのようなことが起きたのでしょうか。この図をご覧ください。
稲葉さんの飲食店は日常使いの人をターゲットにしていましたが、旅行雑誌に掲載されたことで、非日常を求める観光客がお客さんとして増えてしまいました。そのため、2つの層のお客さんが混在してしまいます。とはいえ、お店としては、どちらもお客さんなので、観光客のお客さんに対しても、日常使いの人をターゲットにしたメニューを提供していました。
実はこのように、非日常視点のお客さんも来店するため、お店側が提供したいサービスとお客さんが求めるサービスが異なるケースがあります。その結果、稲葉さんはお店本来のコンセプトがブレてしまったと話しました。
その一方で、非日常の中にも日常があると言えます。分かりやすい例として、旅先での行動を考えてみましょう。
非日常を求めて旅行に行くものの、行きたかったお店が混んでいて、いつものチェーン店に足を運んでしまった経験をしたことがありませんか。それは、非日常の中にも日常の馴染みのある風景が存在しているからです。旅先の限られた非日常の時間の中で、本当はそこでしか体験できないことや場所を楽しみたいですよね。
日常の中にも非日常が存在し、非日常の中にも日常が存在します。
それは、明確に切り離せない関係性にあることを理解しておくことが重要です。
ここまでの話を整理すると、日常と非日常の関係は右図のようになります。
今回のテーマである「旅行視点でターゲットを考える」というところに立ち返ってみましょう。旅行視点って何?と思った方が多かったのではないでしょうか。私もそう思いました。稲葉さんの今までの話をまとめると、旅行視点には2つの意味があることが分かりました。
ひとつはターゲットを設定する上での視点です。自分のお店は日常使いの人をターゲットにするのか。それとも、非日常を求める旅行客と、日常の生活圏内で時折非日常を求める人をターゲットにするのか。ターゲットを明確にすることからお店づくりは始まります。その上で、日常を求めるお客さんのニーズ、非日常を求めるお客さんのニーズ、それぞれをお客さん視線で捉えていくのが次のステップになります。
もうひとつは我が街の魅力を考える際に、旅行者視点から考える大切さです。初めて訪れた人の視点から身の回りにある資源を改めて見てみると、日常を新たな価値として見出し、我が街の魅力を再発見できます。この街に住んでいる私にとっては日常だけど、この日常が旅行者にとっては非日常の体験になるのではないかと思い巡らせてみるのもいいでしょう。
その地域にとっては当たり前な日常の風景も、視点を変えて新たな価値を見出せば、住んでいる人にとっても、旅行者にとっても、非日常の“プチ旅行”に変わります。お金をかけて新しいものを作ってくださいと言っているわけではありません。今ある資源を新しい視点で活用すればいいのです。どの街でも、誰でも、今からできるはずです。
第3回目となった食ing DAYs。「創業」というと、どこから考えていいのか分からない。という方も多いと思います。そんな方々に対し、稲葉さんの「旅行視点でターゲットを考える」という方法は、自分のアイデアを事業化する最初の一歩として、大きなヒントになったのではないでしょうか。
参加者11名のうち、実に7名が女性だった今回。稲葉さんのように女性で起業して活躍している姿は、私もやりたい、私もできる、と背中を押してもらった方も多くいらしたかと思います。毎日取り組むことは難しいので、まずはできる範囲から始めましょう。一人の力では難しいので、仲間と取り組むことも大事です。今回の講座で興味を持った方はぜひ、ちっちゃいビジネス開業応援塾も受講してみてくださいね!講座のあとの懇親会では、夜遅くまで皆さんとお食事を楽しまれた気さくな稲葉さんでした。稲葉さんありがとうございました!
稲葉さんのご活躍はこちらから↓
「ちっちゃいビジネス開業応援塾」:http://www.chiiki-biz-sendai.net/
「株式会社たびむすび」:http://www.tabimusubi.co.jp/
さて、次回の食ing DAYsは、11/17(土)@ Gomboppaとなります!
次回ゲストとして、SDCinc及び株式会社GUILD代表取締役の本郷紘一さんをお招きして講演いただきます!小商いやマルシェを通して、「食」にまつわる表現をし続けてきた本郷さんの等身大のお話です。この貴重な機会をお見逃しなく!
詳細は以下のリンクをご覧ください♪
Writer profile
舟山 直道。veeell Inc.マネージャー。
角田市地域おこし協力隊としても活動。veeellと協力隊業務を日々掛け持ちながら奮闘中。
野球とバスケ好きな小ネタ王子。推しメンは横浜DeNAベイスターズの熊原 健人選手。
2018年、角田市でメディアに出演している数が最も多いTVスター(自称)
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