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【社長料理人への道】DAY5レポート-part3-


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午後からは、日本政策金融公庫の小出さんのレクチャー。

中間発表を終え、昼休憩をはさんで午後からは「創業計画書のつくり方」のレクチャーとなります。こちらは中間発表にもゲストとして参加いただきました、日本政策金融公庫(以下、日本公庫)の小出さまに担当していただきました。日本公庫の仙台支店さまは、かくだ創業スプラウトの構成メンバーであり、角田市の創業支援事業に普段からご尽力していただいていることもあって、今回の講師依頼を快くお引き受けくださいました。


午後の講義内容は以下のようになります。


① 日本政策金融公庫の概要

② 創業を取り巻く状況

③ 創業計画書の必要性

④ 創業計画書のつくり方

⑤ 日本政策金融公庫の融資制度


本日は③と④がメインとなりますが、②にも重要なお話がありましたので、②からレポートをはじめたいと思います。「①日本政策金融公庫の概要」につきましては、公式ホームページをご覧いただければと思います。




創業を取り巻く状況

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まずはこちらのデータをご覧ください。この自己資金と売上げ状況のグラフが示しているのは、創業時にはある程度借り入れをしたほうが経営が安定するという事実です。


なぜだと思いますか?これには3点の明確な理由があります。


理由1)…借入の過程で創業計画に対して第三者のチェックが入るから。

借入をするためには、相手を説得する必要があり、開業計画を吟味する過程で、計画がブラッシュアップされる。

理由2)…よりシビアな基準で投資対象を判断するようになるから。

借入には、コスト(金利、手間)が伴い、投資が本当にそのコストに見合うのかを吟味するようになる。

理由3)…事業を始めるのに本当に必要な金額を準備できる可能性が高まるから。

自己資金には限りがあり、無理に投資額を抑えると、本当に必要な投資まで削ることになりかねない。


つまるところ、重要なのはしっかりと創業計画を立てることなのだと、上のデータが私たちに教えてくれています。




創業計画書の必要性


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分かりやすい口調で創業計画の重要性を説く小出さん

そもそもなぜ創業計画をつくるのでしょうか?創業の目的は「ビジネスを立ち上げること」ではなく、「ビジネスを維持・発展させること」にあります。創業は目的を達成するための手段にすぎません。立ち上げたビジネスを、いかに維持・発展させていくかの重要な道しるべとなるのが創業計画なのです。ここで、下記の2つの数字を見てみましょう。


     48.4%    65.6%


これらの数字の意味を想像するのは難しいかもしれません。日本公庫の創業融資先の状況において、左の数字48.4%は予想月商達成率で、右の数字65.6%は黒字割合を示しています。つまり、創業計画の月商を達成できている企業は半数以下となり、黒字を達成している企業は7割に満たないということです。創業計画を作成しても、案外計画どおりにはいきません。それでも、計画をつくる意味はあるのかと問われれば、答えはYesです。なぜかというと、以下の5点の理由があるので、順に見ていきましょう。


理由1)… 金融機関から融資を受けるため

新規に創業される方は事業実績がなく、決算書がありません。また、過去の取引実績がなく、信用情報がありません。そのため、創業計画書は融資の判断材料となります。


理由2)… 自分が創業準備を進めるため

創業までに何をしなければならないか、実現可能性はあるのかを把握しなければなりません。その際に創業計画は、創業までのロードマップとなります。


理由3)… 第三者に見てもらうため

自分では売上は過大に、経費は過小に見積もりがちなので、第三者の冷静な目で見てもらうことが重要です。創業計画はブラッシュアップの手掛かりになります。


理由4)… 支援を集めるため

一人では経営資源に限りがあり、支援を受けるには、想いを形にする必要があります。そのため、創業計画はプレゼンのツールになります。


理由5)… 創業後の経営をチェックするため

創業しても、ほとんど計画どおりにはいきません。ただ、計画がなければ、どこにギャップが生じているのかさえ分からない状況になってしまいます。つまり、創業計画は経営の羅針盤であるのです。


小出さんがおっしゃるように、創業計画書はつくって終わりというものではありません。課題が発生したら、その都度修正し、PDCAを繰り返すことが最も重要です。





創業計画書のつくり方


次に具体的な創業計画書のつくり方へと話は移ります。まず、創業計画の作成手順として、以下の項目に矛盾している点がないかを繰り返し確認します。さきほども確認したPDCAサイクルですね。

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① 全体の構想、事業イメージを固める

 →コンセプト、創業動機等を明確にする

② 具体的な事業内容を詰める

 →商品内容、対象層などの特徴を整理

③ 創業時の資金計画をつくる

 →必要な資金と、その調達方法を整理

④ 収支計画・返済計画をつくる

  →売上予測、収支予測を立てる




ポイントとなるのは、「やりたいこと」と「できること」と「必要とされること」が重なるところを発見して、そこへアプローチしていくことです。「やりたいこと」は皆さんすでにお持ちかと思いますが、困難を乗り越えていける熱意・信念・志があるかという起業動機に密接に関わるところです。「できること」とは、勤務時の経験や人脈から、必要なスキルや信用が身についているかの判断になります。最後に「必要とされること」とは、プランの内容がビジネスとして成立するのか、ニーズがあるのかという基準です。こういった見通しを立ててから、他の事業者といかに差別化していくかを考えていきましょう。

ここで、これまでの講義内容を踏まえ、創業計画書のターゲットと事業内容について、もう一度検討するワークショップを行いました。


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ワークに取り組む受講生

小出さんからもターゲットを絞ることが必要というお話がありました。受講生はこの講座で何度も耳にしたことと思います。いまだにターゲットを絞ることに不安を覚える方もいるかもしれませんが、「ターゲットを絞る」=「お客さまを限定する」という意味ではありません。絞ったターゲットに対して、店舗コンセプトを組み上げていくことで、コンセプトが明確になります。明確になったコンセプトは、ターゲットに伝わりやすくなります。ターゲットが来店して、退店後にクチコミをしてくれれば、自然と潜在的なターゲットに情報が伝わります。つまり、ターゲットを絞ることは、副次的にその周辺の層までをお店の来客対象としているのです!ですから、ターゲットを絞らなければ、ある程度幅のある誘客を実現することが難しくなります。


その上で、市場や業界動向の情報収集をしていきます。情報が不足すると、事業イメージを過大評価しがちになるそうなので、非常に危険です。特に個人店舗として小さく創業される方は、できる範囲でも構いません。必ずこのステップを踏むように心がけましょう。次に、そこから見えてきた事業計画の弱点を理解し、いかに対処していくかを検討します。なぜなら、お店のセールスポイントが事業存続の成否を握るカギであるのに対して、ウィークポイントは成長のボトルネックとなるからです。いくら素晴らしいメニューがあったとしても、広報が弱いとなれば、事業成果は広報の能力で決まってしまうのです。前回の三塚さんの講座とも共通する話ですね。




お金の計画をする


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ここまできたら、残すステップは2つだけ。お店のお金の動きを考えることです。


手順1)… 資金計画を考える


創業前は、立派な設備で大きな事業を行いたいと考えがちです。しかし、無理は禁物。

「小さく生んで大きく育てる」発想で創業計画を考えましょう。最初に大きな投資をして創業してしまうと、当初の事業計画に途中で無理が生じた場合、軌道修正が難しくなります。そうならないために、必要十分な資金計画の見極めが大切です。その際のポイントが2つありますので順にみていきましょう。

ひとつは、自己資金の有無です。小出さんが創業計画を審査する際に、最初に目を落とす欄が自己資金だそうです。一般的には、投資額の1/4程度が自己資金の方が多いようです。結論からいえば、自己資金は必要です。それは、借入負担を軽減することで収支の改善につながります。資金繰りが緩和されますので、予想売上げ達成までのつなぎ資金となります。融資を受ける際は、創業準備の証となるので、計画性や事業意欲をアピールできます。

二つ目は、余裕をもった運転資金の準備です。創業から黒字基調となった平均的な時期は、開業から6.3ヵ月後となりますので、予想以上に長い期間耐えなければいけません。


個人の飲食店開業の場合で、資金調達額が1,000万円を超えると、過大に資金計画を見積もっている可能性が高いと、小出さんは話されます。もう一度確認します。無理は禁物です。小さく生んで大きく育てましょう。


手順2)… 収支計画を考える

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さて、もう一息です。

収支計画とは、収入と支出、借入と返済をシュミレーションして予測することです。

右図が基本的な収支計画の例となります。

売上げは、営業時間などに影響されるので、なるべく細かく状況を想定した数字としてください。


ここでも計画を進めていくなかで、どんどん具体的な数字がみえてきますので、その都度事業全体のPDCAサイクルをまわします。


特に飲食の経験が無い方の中には、各項目の一般的な数字が見当も付かない方もいるかと思います。そのような方には以下の公庫HPにあります、経営指標が強い味方になります。業種別に詳細な経営指標が用意されていますので、そちらをぜひ参照してみてください。


<中小企業起業の経営等に関する調査_小企業の経営指標調査_調査結果>

https://www.jfc.go.jp/n/findings/sme_findings2.html#tyousa



これで以上となります!小出さんの講義をすべて詳細にお伝えすることはできませんが、創業計画の概要をつかむための参考にしていただければと思います。また、受講生の方は、いつものようにリマインダーとしてご利用ください!


今回の飲食に特化した創業計画の講座内容は、小出さんにご無理をいって別注させていただきました。ご多忙のなか、このような貴重な講義を頂戴しました小出さん誠にありがとうございました!


小出さんの物腰柔らかい雰囲気と分かりやすい解説のために、所用で途中退席するはずだった受講生も、最後まで席に着いたままになるという密度の濃い時間となりました。



 


次回の開催は11月11日(日)となります。

「食に関するレクチャー&ワークショップⅢ」

 11:00~16:35@Gomboppa


次回は、午前中にワークショップを行います。二人一組になり、交互に発表して、聞き手は分からなかった点や良い点・悪い点についての講評をしていただきます。同じ目線で学んできた自分以外の受講生から意見を聞いて、自分のプランへのフィードバックを得ましょう。

午後は、マーケティング基礎の講座となります。ゲスト講師に一般社団法人IMPACT Foundation Japanプログラムマネージャー、MARUMORI-SAUNA株式会社の本多智訓さまをお招きし、マーケティングのレクチャーを通して「経営全体」を考えるコツをお話いただきます。最後に、午後の前半で得た知識をもとに、自身のリーンキャンバスにもう一度目を通し再検討していきます。

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