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【社長料理人への道】DAY7レポート-part2-


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後半は、商品開発コストの考え方を学んでいきます。お昼の休憩は講師の鈴木圭介さんと一緒に近くのラーメン屋さんでランチし、親睦を深めた受講生たち。お腹が満たされて睡魔が襲ってくる時間帯ですが、頭をフル回転させ、自分のビジネスプランの各指標を実際に試算してブラッシュアップしていきます!


DAY7の前半の内容はPart1のレポートをご覧ください。




適正な価格設定

先ず、売上と利益の仕組みを学びます。どのビジネスもそうですが、いくら売上を上げても、手元に残る利益を増やしていかなければ事業を継続させていくことができません。そこで、下記の①~④の中で、どの方法を使えばより利益を上げることができるのか、一番効果的な方法をそれぞれ考察してみました。


①:単価を上げる

②:原価を下げる

③:販売個数を増やす

④:固定費を減らす


受講生の阿部良一さんは②原価を下げる、一條英樹さんは③販売個数を増やす、佐藤真紀さんは④固定費減らすを選択しました。皆さんもぜひ一緒に考えてみてくださいね。


※前提として、単価1,000円、原価300円、粗利700円、販売個数1,000個、

売上100万円 、変動費30万円、粗利70万円、固定費60万円、利益が10万円となっています。

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利益を上げるために一番効果的な方法はどれでしょうか?

<検証>


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①単価を10%上げる

単価を10%上げて、1,000円から1,100円にします。原価は変わらず300円のままなので、粗利は800円になります。販売個数は変わらないものとして、売上は110万円になります。変動費も変わりません。粗利が80万円になり、固定費も変わらないので利益は20万円になりました。元の利益が10万円なので、10万円アップということになります。



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②原価を10%下げる

原価を10%下げて、300円から270円にします。粗利は730円になります。販売個数は変わらないもものとして、売上は100万円で変わりません。変動費が27万円に下がります。粗利が73万円に上がり、固定費は変わらないので、利益は13万円になります。元の利益が10万円なので、3万円アップということになります。



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③販売個数を10%増やす

販売個数を10%上げて、1,000個から1,100個にします。単価、原価、粗利は変わりません。変動費は販売個数に比例して33万円に上がり、売上も110万円に上がります。固定費は変わりません。粗利が77万円に上がり、利益は17万円になります。元の利益が10万なので、7万円アップということになります。



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④:固定費を10%減らす

固定費を10%下げて、60万円が54万円になります。この時、利益以外の数値は変わりません。固定費が6万円下がるので、利益は16万円になります。元の利益10万なので、6万円アップということになります。




<検証結果>


①:単価を10%上げる    利益が10万円UP

②:原価を10%下げる    利益が3万円UP

③:販売個数を10%増やす  利益が7万円UP

④:固定費を10%減らす   利益が6万円UP


検証の結果、全ての方法で利益がアップしました。その中でも、一番効果的なのは①単価を上げることでした。今回のケースでは原価がそのままなので、単価を上げることで最も利益がアップしました。なお、④固定費を減らす方法でも利益がアップしますが、固定費として分類される従業員の給料を減らしてしまうと、従業員のモチベーションが下がり、サービスの質が悪くなる危険性もあるので注意が必要です。

この検証結果から分かることは、適正な価格設定をするということです。原価を下げることや、販売個数を上げることは企業努力でできますが、単価を上げたり下げたりするのは簡単ではありません。また、単価を上げれば必ずしも利益が出るという訳ではありません。単価が高すぎて商品が売れない場合もありますし、一般的に品質が高いものほど、原価が高くなるので、単価が高くても粗利が少なくなるというケースもあります。あらかじめ、原価がどのくらいかかるかを計算し、利益が出る価格設定をすることが重要です。



原価率と歩留まり
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原価率と歩留まりについて説明する鈴木さん

次に原価率を学びます。原価率とは、売上に対しての原材料費などの割合のことです。例えば、300円で仕入れた魚を1,000円で売れば、原価率は30%です。一般的な原価適正率は3割程度だと言われています。でも、この商品は目玉商品で、原価率が4割、5割と高くなったとしても、他の原価率が低い商品で利益を取り、メニュー全体のトータル原価率を3割に抑えるという手法もあります。メニュー1つ1つを同じ原価率にする必要はありません。全体のバランスを考えて、原価が高くてもお客さんを呼べるメニューをどうするか、どのメニューで利益を上げるかをそれぞれ分けて、店舗として戦略を立てることが重要です。


さらに、原価率を計算する上で、歩留まりも大切です。歩留まりとは仕入れた原料に対して、実際に使える割合のことです。例えば、ホヤ刺身1人前200gで販売する場合、殻付きほや2,000gを1,000円で仕入れました。素直に考えると、一人前の原価は100円です。500円で販売したとすると、原価率は20%です。でも、実際は殻は食べれませんし、ホヤの仕込みをすると、水分なども出て行きます。そうすると、実際に使えるのは1,600gになり、歩留まりは80%(5分の4)ということになります。すると、一人前の原価は約125円で、原価率は約25%になります。

綴カフェでは歩留まりをよくするために、無農薬野菜の皮を細かく刻んでスープに使うなどの工夫をして、極力無駄にしないようにしていると鈴木さんは話します。また、廃棄ロスやポーションロス(決められた量以上)、商品ミス(注文ミス・提供ミス)があると食材原価が上がり、利益も減ってしまいます。そのため、なるべくロスを防ぐこともポイントです。


ワークショップ

売上と利益の仕組みを学んだあとは、自分のビジネスプランの各指標を実際に試算していきます。まず、毎月どのくらい経費がかかるのか試算していきます。経費の項目として、自分の人件費や従業員の人件費、地代家賃、水道光熱費、消耗品費等が項目になります。


◆阿部良一さん◆  経費:約45万円

◆一條英樹さん◆  経費:約117万円

◆佐藤真紀さん◆  経費:約52万円


自分のビジネスプランの毎月の経費を試算することで、実際、ひと月にどのくらいの固定費がかかるのか分かります。経費を試算する段階のポイントとして、自分の人件費を下げる必要はありません。飲食店の経営者は、最初に自分の人件費を確保しておきます。なぜなら、会社のお金は自分のお金ではないですが、万が一会社に何かあった時、自身のポケットマネーから出さなければいけないからです。そのため、経営者はなるべく、沢山の収入を貰い、貯蓄を蓄えておいた方が良いと鈴木さんはアドバイスします。といっても、創業にあたって、最初は毎月マイナスからスタートします。段々と売上が上がっていき、収支がプラスマイナスゼロになることで、やがて利益が出ます。毎月の収支の安定感や苦しさを考えると、固定費が低いことは事業を継続する上で気持ちが軽くなるので、各項目を適正な価格で決めることが肝になります。


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ビジネスプランを試算する受講生たち

次に、利益を試算します。先ず、現在考えているメニューの単価、数量、営業日数等を踏まえ、粗利を算出していきます。そして、算出した粗利から、先ほど算出した経費を差し引いて、実際にどのくらいの利益が出るのか試算します。

◆阿部良一さん◆

 粗利:約63万円 - 経費:約45万円  = 利益:約18万円

◆一條英樹さん◆

 粗利:約123万円 - 経費:約117万円 = 利益:約6万円

◆佐藤真紀さん◆

 粗利:約109万円 - 経費:約52万円  = 利益:約57万円

自分のビジネスプランの経費、粗利を試算したことで、どのくらい利益が残るのか分かりました。皆さん、利益が手元に残る試算の結果になりましたが、ここで、とある受講生がひとこと。この数字を達成するには、「1日、32食提供しないといけない...」と。


先ほど、最初に自分の人件費を含めた経費を試算しました。次に、試算した経費に対して、利益を出すための粗利を試算しました。その結果、設定した経費と粗利を差し引いて利益が出ましたが、その数字を実際に達成するには、現在設定している客単価のメニューを限られた人材と時間の中で、1日に32食提供しないとその数字が実現しない試算になってしまったのです。実際に試算で算出された人数のお客さんが来て、メニューを提供できるオペレーションが可能であれば実現する可能性がありますが、お客さんが来なかったり、お客さんが来てもオペレーションが追いつかず、メニューを提供できないという可能性もあります。

特に、1人で営業を考えている場合は尚更のことです。そのため、試算する上では、現実的に無理のない検討をすることも大切になります。かつ、メインとしている商品やサービスが上手くいかなかったときのことも想定し、メインの事業以外にも、複数の収入源を確保するための物販やサービスを考えて試算することを鈴木さんは推奨しています。



実現可能性と持続可能性

今回、自分のビジネスプランを粗利、経費、利益の3項目から試算しました。実際に試算してみることで、目標設定した数字を達成するにはどのようなことが必要なのか、様々な気づきがあったのではないでしょうか。先ほどの例もそうです。設定した経費に対し、利益を生み出すには、現状のビジネスプランでは1日に32食提供しないと、その数字を実現することが難しいと分かったのです。一見、その数字を見たときに、無理、できないと実現不可能に思いがちになりますが、鈴木さんは、できない理由を1つずつクリアしていくことが大切ですと皆さんにアドバイスします。


確かに、現状を見てみると、限られた人材と時間の中で、1人で1日32食を提供するのは無理があるかもしれません。ですが、試算した利益が見込めるのであれば、スタッフを1人雇用できる余裕があるのではないか。1人雇用すれば、限られた時間の中でも、1日32食提供することも可能なのではないか。営業時間や日数を増やすことができるのではないか、などと色々な観点から実現の可能性を探っていきます。


今回のワークの目的は、実現可能性と持続可能性を認識することです。実際に試算してみることで、実現可能な部分と実現が難しい部分を切り分けます。実現可能な部分は、持続させていくために持続可能性をより深化させていきます。実現が難しい部分は、どうすれば実現が可能なのか、策を練っていきます。自分のビジネスプランの実現可能性、持続可能性の部分は、実際にこれから皆さんが創業を志し、銀行から融資融資を受ける際や周りの人を説得する際に必ず問われる部分です。実現可能なプランでなければ、持続していくことも不可能だからです。


大切なことは、様々な視点から検証し、修正を重ねてブラッシュアップをしていくことです。やりたいこと、できること、必要とされること、その3つが重なるところを追及すると、なおよいとDAY5で日本政策金融公庫の小出さんもおっしゃってましたよね。すぐに答えが出るものではありませんが、この作業を続けていけば、自ずとビジネスプランが深化していき、実現可能性が高い数字が見えてきます。


Part2はここまで。次回のPart3では商品開発を考える上でのコツを学びます。

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