【社長料理人への道】DAY6レポート-part2-
後半は、マーケティングの基本的なフレームワークを使用したワークショップを行っていきます。フレームワークは、今まで皆さんが行ってきたリーンキャンバスや店舗コンセプト、顧客ターゲットを考える上での基本型になります。といっても、必ずしも基本の型を使って考えれば正解が出るものではありません。目的は基本的な考え方を踏まえることで、プラン全体の抜け漏れや思考の偏りを防ぐために、フレームワークを使いこなれるようになることです。
DAY6の前半の内容はPart1のレポートをご覧ください。
3つの視点から考える
まず、事業全体を考える際に最も基本的なフレーム「3C」を最初に学びます。自分のビジネスプランを3Cの視点で大きく捉えることができるフレームです。3Cとは、以下の3要素の頭文字をまとめたものです。
●顧客(Customer)
自社の製品やサービスについて、購買する意志や能力のある潜在顧客を把握する。
●競合(Competitor)
市場の競争状況や競争相手について把握する。
●自社の状況(Company)
自社の経営資源や企業活動について、定性的・定量的に把握する。
このフレームワークでは、自分のビジネスプランを3C(顧客・競合・自社の状況)の視点から考えます。自社の製品やサービスに自信がある人ほど、自分のやりたいことだけを反映したビジネスプランを作成する傾向があります。その上、ビジネスプランを考える際に、重要な顧客と競合の視点が抜けがちになることが多くなります。
自社の状況しか考えずにビジネスを始めるとどうなるでしょうか?売れると思って創業したら、実際には売る相手がいませんでした。競合がいないと思って始めたら、競合が存在してうまくいきませんでした。というケースも少なくはありません。そうならないためにも、3C分析を活用して、自分のビジネスプランを大きく全体を捉えることが大切です。
本多さんが、この3Cのフレームワークを通じて、最も伝えたかったことは、競合を決めるのはお客さんの視点であるということです。例えば、自分のお店がそば屋だとして、周辺のそば屋だけが競合になるわけではありません。近くのコンビニやラーメン店も競合になりえるということです。お客さんによって競合になるお店の考え方が違うので、自店とどこのお店が競合になるのか、お客さんの視点になって検討することが肝です。
ワークショップ
これらのポイントを踏まえ、受講者の皆さんは作成したリーンキャンバスを確認しながら、学んだばかりの3Cのフレームを活用して自分のビジネスプランを見直しました。その結果を発表するワークショップを行いました。
◆一條英樹さん◆
スープカレーをメインに設定しているので、飲食店全般が競合になると考えます。ランチの時間帯では、スーパー、お弁当屋が競合になると言えます。立地は角田市内での出店を考えています。スープカレーは角田市では馴染みのない食事なので、角田市民の方が受け入れてくれるかが心配ですが、逆に、食べたことがない人がほとんどだと思うので、うまくいけば強みになると思います。
●本多さんコメント
角田市のお客さんが、スープカレーというカテゴリを認知してもらえれば、角田市でやっているお店がないので、強みになるということですね。
◆佐藤真紀さん◆
私のお店はランチがメインなので、農家レストランや町内のカフェ、飲食店が競合になると考えます。お客さんは町内からあまり来ません。遠くから来る人が大半です。町内の方がうちでランチをするのは少ないです。
●本多さんコメント
そうすると、町内のカフェ、レストランは競合にならないんじゃないですか。競合を近所の飲食店にするのか、他地域の飲食店にするのかで考え方が全く変わってくるので、エリアををきちんと考えないといけません。真紀さんのお店の競合は地域の飲食店ではないと思います。まずはターゲットとするお客さんをどのエリアに設定するのかが重要です。
◆阿部良一さん◆
近くにスーパーができるのでそこが競合になると思います。だた、スーパーができるということは人が集まるということなので、娘のお店(※1)と協力してお互いにお客さん呼び込みたいと思います。
◆齋藤亮さん◆
夜の時間帯にRestaurant&Bar Panch(以下、Panch)で提供する場合は、Panchの他のメニューも競合になると考えます。ハンバーガーという面で見ると、角田市の中でハンバーガーを提供しているお店が他にはないので、競合はいないと考えます。お昼の時間帯にも営業する場合は、角田の飲食店も競合になると思います。
●本多さんコメント
私はハンバーガー好きなので、普段からよく行くハンバーガーショップが、私の中では競合になります。ハンバーガー好きの人にとっては、自分が好きなお店が競合になると思います。Panchの食事メニューの中の一品とする場合、ハンバーガーがそんなに好きじゃない人は、他の〆のメニューと競合になるのではないかと考えます。今後、ハンバーガー1本で展開して行く場合は、競合が明確になるので、顧客や競合が絞りやすくなると思います。
今まで、リーンキャンバスから始まり、店舗コンセプト、創業計画書を考えてきた受講者の皆さん。改めて自分のビジネスプランを3Cの視点で再考してみると、顧客や競合を理解する必要性が納得できたと思います。冒頭に申し上げましたが、フレームワークを行う目的は基本的な考え方を踏まえることで、自分のビジネスプランの軸を作ることです。フレームワークをビジネスプランを考える際のチェックリストとして活用すれば、分析や解決策の立案をより有効的かつ効率的に行えるようになります。
(※1)阿部さんの娘さんは、柴田町で「ナルミ・キッチン」を経営しています。
基本的なフレームワークを学んだあとは、次に考えるべきもう一つのフレームワークを本多さんにレクチャーしていただきます。その模様はPart3でお届けします!
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